よくあるご質問

「不動産鑑定評価書」と「不動産調査報告書」はどう違うのですか?

不動産鑑定評価書は「不動産鑑定評価基準」に完全準拠したフル・スペックの評価書で公的証明力が強く、以下の用途が代表的です。
①公示価格や相続税路線価、固定資産税路線価など公的地価の決定
②公共工事に伴う国や自治体の補償額などの算定
③裁判所で行う不動産競売のための最低落札価格の決定
④会社設立や増資の際に現物出資する不動産の評価
⑤不動産をめぐる民事訴訟で裁判所に証拠資料として提出する場合
一方、不動産調査報告書は「不動産鑑定士が不動産に関する価格調査等を行う場合の業務の目的となる範囲等及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」に準拠して作成された簡略版の評価書で、主に家庭や企業内などでの参考資料として利用されます。

不動産の相続における「代償分割」とは何ですか?

「代償分割」とは、共同相続人のうち特定の者が被相続人の遺産を取得し、その代償としてその者が自己の固有財産(相続財産でなくてもよい。)を他の相続人に支払うことをいいます。例えば、実家の居住用不動産(時価3,000万円相当とします。)を被相続人である亡母(父は既に他界)と同居していた長男が受け継ぐ代わりに、別居の長女に1,500万円を代償交付金として支払うケースが考えられます。このとき、長男の手元に200万円の現金しかない場合でも、長女は「しょうがないわね」と言って200万円で我慢してくれるとは限らず、「争族」に陥る危険があります。
さらに、仮にこの居住用不動産(時価3,000万円相当)しか遺産がなかった場合、長女はその4分の1の価額に当たる750万円を「遺留分」として最低限主張できることが民法で保障されています。このように、不動産のような分割しづらい財産が遺産の大半を占める場合は、母親の生前に母親を被保険者とした生命保険に入ることで(ただし母親以外の者が契約者となる場合は母親の同意が必要になります。)、いざというの時のための代償交付金や遺留分を確保することができます。
ちなみに、この代償交付金を交付した長男に贈与税が課されることはありませんが、遺産分割が完了した後に「あの時は少なかったから」 といって長女に不足分を支払った場合は贈与と認定され、贈与税の課税対象になります。